はじめてのマウイ(その8)

ようやくその女性も納得した様子で、車種をオンラインのPCに打ち込んでいった。
何事もいい加減というのは、あとになっていろいろ後悔するものだが、そもそも簡単なトラベル英会話の勉強すらしていかなかったのだからどうしようもない。ひとつ答えるごとに、『本当にこれでいいのかな?』という不安はありながらも念頭には保険のこととサインする時のことが一番にあったし、そもそもひとつずつでも決めていかないと先に進まない。

殆ど試験のような緊張感のなか、保険について彼女が話し始めた。ブースの横には保険についてかかれてあるシートが置いてあるのだが、どれを選べばいいのか、いきなりではなかなか掴みづらい。ガイドブックとにらめっこしながら、L.PとL.D.W(保険の種類)は必要だな、とか細君と確認しあいながら、これまた英語で「これとこれを申し込む」などとカッコいいことは言えないので、その紙に書かれているところを、指差しながら「ア〜、ディス。。。アンド。。。ディス」とか言っていたら、また女性が早口で何か言っている。なんだ?と思いながらよく聞いてみると、保険に関しては、全部予約に含まれていると言っている。『な〜んだ、それなら最初からそう言ってくれよ』と思ったが、最初から言っていたのかもしれない。。。

実際には理解するまで3回くらい繰り返された。最初こちらがきょとんとしているので、女性も必死になって説明していたが、こちらがようやく理解すると相手も笑顔になった。一番気を使わなければいけないところだと思っていたので、はっきり言ってちょっと拍子抜けではあったが、ともあれ、すでに含まれているということに安堵した。

『なんだ、気にして損したな』と思いながらどうにかこうにか、ひととおりPCに入力を済ませ、正式な予約ができると、固めの伝票のようなものがプリントアウトされてきた。女性はそれにボールペンでチェックを入れながら、最後の確認作業だ。こちらとしては、配車が決まればそれでいいと思っていたから、これまた「イエス、イエス」とか言いながら、いい加減な返事だ。

車はE−9番の車だと、最後に確認した後、これで良ければサインしろと言う。
車に関してはある意味どうでも良かったのだが、実はその伝票に$3.2と$40.00という数字が書いてある。これって金がかかるってことだよなぁと不信に思ったのだが、相手は説明してるし、その伝票にも明細が書いてあるわけだから文句のつけようがない。$3.2に関してはper dayと書いてあるから、なんか一日ごとにかかる金なんだろな、くらいで良かったが、この$40ってなんだ?という疑問が大いに湧いてきた。

日本のレンタカーの場合、すでにツアーの申込段階でお金を振り込んでいれば、現地で余計に金を払うということはありえない。これっていったい何の金なんだろうと非常に疑問に思いながらも、とりあえずここまで適当にイエスイエスで通してきた手前、今更あーだ、こーだとも言えず、というかあーだ、こーだが英語で言えないので、表面的には文句が無いふりをしながらも、実はしぶしぶサインして、相手の言うままにクレジットカードも手渡した。

実はガイドブックにもH.I.Sの説明書にもサインをする場合はよく確認してからしろと書いてあるのだが、確認するも何も何が書いてあるのかわからないんだからどうしようもない。相手に説明を求めても、英英辞典で調べるみたいなもので、こちらが日本語で理解しようとすることに無理がある。結局その金はいったい何に対する料金だったのかというのは未だにわからないまま現在に至っている(すでにどうでも良くなっているのだが。。。)。

ともあれ、正式予約も済み、これを事務所で渡してキーを貰えみたいなことを言われたのでそそくさと止まっていたバスに乗り込んだ。結局最初に乗っていってしまった方がいいのではないかと思ったバスなのだが、乗り込んでみて実は外見よりも座席が少ないということに気がついた。よく考えると、ほとんどの客は大きなトランクを一緒に持ち込むので、その分スペースをとるわけだ。もっとも今の私達にはそのトランクは無い。他に客もないまま、しばらくしてバスは走り出した。