はじめてのマウイ(その7)


前の女性二人組みのやりとりは殆ど参考にならないまま、長い待ち時間のあと、ようやく順番が回ってきた。予約を終えたその女性たちは近くに止まっていたレンタカー会社のバスに乗り込んでいった。合計するとかれこれ30分くらいは待たされただろうか。

女性の受付は現地人なのか、かなり色の黒い中年女性だ。
最初に日本の免許証と国際免許証の提示を求められた。ガイドブックというか、以前調べたインターネットのサイトによれば、保険を選ぶ時とサインする時以外は、適当に聞き流していれば良いという事であったので、その意味では簡単に考えてはいたのだが、実は日本でレンタカーを予約した場合との大きな違いがあった。

日本では予約の段階ですでに車のランクと車種は決まっていて、おそらく当日手配のつくレンタカーを適当に割り当てていると思うのだが、ここのレンタカーは自分で車種を選ばなければならない。いや、実際にはランクは予約の段階ですでに決まっているので、選べる車というのは決まっているはずなんだが、どうも勝手が違う。

バインダー式の説明書を見せられながら、手続を進めていくのだが、車の載っているカタログのようなページを開いて、「どの車にするか決めろ」みたいな事を言う。それには小型から大型の高級車までたくさんの車が載っていたが、こっちは車に関してはすでに決まっていて、予約カードを見せれば適当に手配してくれるものだとばかり思っていたし、そもそもアメ車などどれを選んでいいのか、さっぱりわからない。相手の女性は、こちらの勝手がわからないと思っているのか、英語で何度も説明してくれるのだが、実は勝手がわからない以上に英語がわかっていなかった。

最初のうちは「アーハァ」とか「ウーフゥ」(言ってないけど)とか、適当に流して知ったかぶっていたのだが、さすがにネーティブの英語は早口でよく聞き取れない。もっともこれも強がりで、遅ければわかったのかと言うと、そんなこともないのだが。。。
なるほど、先ほどの女性たちもこの辺からつまづいたんだなと思い出しながらも、相手の女性は勢いよく話し続けているので、なんとか聞き取らないとならない。
最初に聞き取れなかったときには「パードゥン?」とか言いながら、ちょっとは出来るふりをしてみたものの、さすがに繰り返すと相手の女性も英語の理解できない田舎者の日本人であるということがわかったようで、「カローラ?」とか言ってきた。

カローラ。。。。おお、日本車のカローラが置いてあるのか!それなら運転も楽そうだと思いながらも、カローラって排気量1600ccくらいじゃなかったっけな?あれ、
1800か?申し込んだのはそのクラスだったっけ?などと、瞬間的に頭に浮かんではきたけれど、『カローラ』という魅力ある言葉にひきつけられ、大きな声で「カローラ?オー、イエ〜スイエース」とか言いながら、これまた適当に返事をしてしまった。