はじめてのマウイ(その30)


 前の車はすでに給油を開始していたので、一番大事な始めの動作を確認することが出来なかった。他の給油機を見回したが、これと言って参考になるのがなかったので、私は給油機のところに書いてある英語の説明書きをわからないまま見つめていた。どうやらガソリンには3種類ほどあるらしい。その種類がなんだっかは忘れたが、指定されていたガソリンはそのうちの2種類だったので私は安いほうにしようと決めていた。

 しばらくして自分達の順番が回ってきた。よくわからないまま給油口のキャップを開け目をつけていた給油機のノズルを給油口に差し込んだ。とりあえず格好がついたので、これでレバーを引けば出るのかと引いてみたが今ひとつ手ごたえが無い。どうやらメーターも回っていないようだ。窓から細君が「出来たの?」と聞いてきたので「いや、よくわからないんだよな」と答え、しばらくまた給油機の説明書きを見ていたら黒人系の人が来て、給油機のあるレバーを押した。スイッチを入れてくれたようだ。あらためてレバーを握ってみると今度は確実な手ごたえが返ってきた。私はその人に御礼を言うとにこやかに笑っていた。あとから考えるとどうやらそのスタンドの店員だったようだ。だったら最初からやってくれればいいのに。ガソリンは満タンになると勝手に止まるようになっている。日本のガソリンスタンドならノズルを引いて給油口いっぱいまで入れるところだが、そこまでする必要もないだろう。
 
 ともあれ、無事に給油をすることができた。セルフなので料金の支払いも端にある料金所に自分で払いに行く。強盗対策のためか料金所はガラスで仕切られた箱の中にいる店員とマイクでの会話で、お金は直接相手に触れることが出来ないように机の引き出しのようなものでやりとりだ。言われた料金を払うだけで会計も特に問題は無い。支払いを終えるとひと安心。あとは車を返すだけだ。
 
その後問題なく空港近くのレンタカー返却場所に到着すると、ひと通りのチェックを済ませ、車とお別れだ。ここでも特に問題は無い。ガソリンメーターと外回りの傷のチェックを簡単に済ませるとサンキューで終了。ちょっと淋しいくらいのものだ。だが特に事故もなく無事に済ませたのが何より。あとはバスに乗って空港まで行く。日本だとレンタカー会社の人が空港まで送ってくれるのでちょっと淋しい感じもするが、余計な気を使わなくて済む分楽でもある。来る時にはなかったトランクケースを抱えバスに乗り込んだ。

 空港へ着くと、予想以上に混んでいる。チェックイン待ちの列が空港の外まで並んでいた。

 出発予定の2時間くらい前に到着するつもりでホテルを出たのだが、余裕を持って出て正解だった。正直これほどまで混んでいるとは思わなかった。きっと1時間くらいの余裕しか見ていなかったら精神的にかなり疲れたに違いない。テロ事件以降の警備強化が原因だと思うが、それにしても混みすぎだ。結局チェックインを済ますまでに1時間くらいかかってしまった。途中並んでいる時に、細君がトランクなどの荷物検査をやっているところでシールを貼ってもらっているのに気付き、「先にあれしないといけないんじゃないの?」と言ったので列を抜け出して、シールを貼ってもらいに行ったりしたが、オアフ行きの便は関係ないと言われた。

 結局予定の1本前の便でもぎりぎり乗れるくらいの時間には全て済ませることはできたが、それでも早く出てきたことに後悔は無い。ホノルルに比べ落ち着いた雰囲気の待合ロビーで飛行機の離発着を眺めながら自分たちの便を待っていた。そして定刻通り予定の便が到着すると私たちはまた眺めのいい席を取るため早めに乗り込み、オアフに向け出発した。
                                              (完)


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(あとがき)