はじめてのマウイ(その29)

 マウイ最後の夜に優雅なひと時を堪能できた。少し雲も出ていたが海岸で多くの人たちが記念写真などを撮っている。私たちも店を出てからしばしの余韻に浸るために、それに混じって写真などを撮っていた。考えてみれば、マウイに来て満足に食事したと言えるのはこのときくらいのものだろう。もっとも普段の生活の中でもラーメンライスなどを好んで食べる私としては、ハンバーガーでもおにぎりでも十分満足できる人間なので、食事そのものに対する欲求と言うのはさほどないのだが、それでも外食と言うのは、料理のおいしさだけではなく、店の雰囲気が大きくものを言うと思うので、特に満腹感よりも満足感を味わいたいなら、私たちも是非お薦めしたいレストランである。

 やがて日も暮れて、マウイ最後の夜になった。私の気持ちは、すでに次に行くオアフに向いていたが、細君にはまだブランド品を買うというお楽しみが残っている。ブランド品にはまるで興味のない私としては、細君が何を買おうがいっこうにおかまいなしだが、大事なのはむしろ細君の機嫌だ。買い物につきあって楽しいわけではないが、せっかくのマウイ最後の夜だ。気持ちよく帰る為には多少のお付き合いも必要だろう。昼間の段階ですでにお目当てのものは確定していたので、あとは決断するだけである。

 店に行く途中、ホエラーズビレッジの中庭でフラダンスショーをやっていたので、先ほど見れなかった腹いせではないがしばし立ち止まり見物していた(写真はぶれてます。すいません)

 その後、目指す店に入り、自分に対するご褒美と言うことで、細君はわりと高価な時計を買っていた。
お気に入りの品が手に入り、細君はすこぶる機嫌がいい。購入した品はもちろんマウイ限定という訳ではなかったが、それでも新製品でオアフでは買えないかも知れないというものだったので、もしもオアフでもっと安く売ってたらどうしようという懸念もあったが(まあどうしようもないんだけど)、それでも満足には違いない。(実際に気になって翌日オアフの店で調べてみたら、同じ物が置いたあったが値段は変わらなかったようだ)

明日はオアフに移動の日だ。マウイ最後の夜だが、特にこれと言った感慨も無く、それでも夕食や買い物に満足して気持ちよく眠れる。明日の移動を余裕を持って出来るように早めに床についた。

 翌朝、残っていた朝食券でまた同じ店でバイキングだ。栄養をたっぷり補給して、あとはオアフ目指して帰るのみ。ガソリンは結構距離を走ったつもりだったが、まだメーターでは四分の一くらい残っている。空港まで戻るには十分だ。ただ戻す前にガソリンを満タンにして返すのは日本と同じ、それと今日は飛行機のチェックイン手続を自分たちでしないとならないため時間が読めない。慣れない土地で時間に追われるのは嫌だったので、かなり早めにホテルを出発することにした。

 車中「あっという間だったね」などと細君と話しながら空港への道を走っていた。ただ私にはまだちゃんとガソリンが入れられるかという不安も残っていた。ハレアカラに行った時に空港の近くのガソリンスタンドはつかんでいたので、場所は問題なかったのだが、確認した日は時間もあるのだろうが、列をなして車が待っていた。早い話が後で待たれた状態で入れ方がわからなかったらどうしようという不安だったわけだ。この辺の不安は全て英語力の無さから来ている。待っている人に英語で文句を言われてもおそらく言い返せないだろうからな。たかが自分でガソリンを入れるだけのことではあるが、小心者の私はそれでもスタンドに行くまでにかなり緊張していた。

 空港が目の前に迫り、目指すスタンドも見えてきた。先日よりは少しは車も少なそうだ。給油口の位置を思い出しながら、私は前に1台車が停まっている給油機の列に車をつけた。



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