はじめてのマウイ(その25)

 天気が良かったのでクルージングでもしたらさぞ気持ち良かったに違いない。しかしこちらは単なる時間つぶしだ。とは言ってもそこで半日遊んでもいいかなと思ったくらいなので、もしまた行く機会があれば是非立ち寄りたいところだ。
 港を見てしばらくしたらまた細君のお腹の具合が悪くなってきたので、すぐ近くのワーフシネマセンター横のいくつかの店が入っている建物に入っていった。まだ時間が早かったのでそれほど混んでいなかったからわりとゆっくり用が足せたようだ。私は煙草を吸いに外にでていたが、公共の屋内で殆ど吸えないというのは非常にもどかしいものだ。

 細君がトイレから出てきてからちょっと小腹が空いたので、何か食べようということになった。ちょうどいくつかのファーストフードが入っていたので、本当はそろそろラーメンでも食べたくなっていたのだが、ワイキキじゃないんだから、そうそうラーメン屋も無いだろうと思い、とりあえず目に付いたサブウェイという日本でもおなじみのサンドウィッチ屋さんに入った。中に入るとやる気の無さそうな女性店員が一人いた。サンドウィッチは朝少し食べているからホットドッグにでもしようと注文したら、いろいろトッピングを聞かれたりした。こちらはそのトッピングがどんな種類なのかよくわからない上に英語がこれまたわからないので、適当にイエスだ、ノーだと答えていたら、そのやる気の無い店員は余計にいらついていた。それでもどうにかこうにか、それなりに格好のついたホットドックになったので、外の吹き抜けのテラスで食べることにしたが、我々が注文を終えて外に出ると、そのやる気の無い店員もあとから出てきて、扉に準備中の札を下げ、鍵をかけ、勝手に店を休憩時間にしてどっかに行ってしまった。 

特においしいと感動するほどのものではなかったが、それでも大分落ち着いたので、その後はしばらくTシャツやアクセサリー屋さんなどを見て歩いた。もし値段が安くていいのがあれば実際に買いたかったが、決して安いわけではないので、安売りは期待しない方がいい。確かにセール品は結構置いてあるのだが、それでも普通こんなもんじゃないか?というくらいの値段なので、やはり買い物目当てと言うのであれば、ある程度の出費は覚悟だろうと思う。

 ウィンドウショッピングを続けるうち、また細君のお腹の調子が悪くなってきた。もともと買い物目当てではなかったので、まだ街全部を見終えたと言うほど歩いてはいなかったが、あまり先まで行ってもそれ程の収穫は無いだろうとも思い、ひきかえすことにした。先ほどトイレを借りた場所で今度は私も借りたが、まあまあ綺麗だった。ついでなので中の店の様子もちょっと見てみようと奥のほうへ行ったら、なんとラーメンの看板を見つけてしまった。すでにお腹は満たされていたので今更だったが、ちょっと後悔した瞬間ではあった。

 街の様子も大分わかり、少しのんびりもできた。もしも、買い物目的だったら2,3時間はあっという間に経ってしまっただろう。もう少しくらい、いてもいいかなと言う気持ちもあったが、そろそろ列車の時間にもいい頃合だったので、そのままラハイナの街をあとにすることにした。

 駅に戻ると今度は駐車場にすでに何台かの車が停まっている。駅の周りにも大分人が集まっている。今度こそ間違い無さそうだなと細君と確認し合い、空いたスペースに車を停める。外国からの家族連れが多いようだ。

 さて、先にクーポンを乗車券に取り替える必要がある。先ほどは閉まったいた駅舎に入ると外から見たよりも狭いくらいだ。ますますおみやげやの様相を呈していたが、建物の端にある小さい窓口でクーポンを乗車券と交換した。このクーポン実は片道分だ。車をここに停めるということは往復する必要があるので、どうしようかと細君が聞いてきたが、同じところを往復してもあまり意味も無いだろうということで、帰りはシャトルバスにでも乗って帰るつもりでそのまま交換した。

 しばらくすると列車が入ってきた。蒸気を上げてなかなか風情がある。ラハイナ駅では始発であったが、この列車はプウコリイ駅発だったので既に乗客が乗っていた。これから乗る人と降りてくる人で駅はなかなかの賑わいになっていた。
 ここラハイナ駅では機関車を転回させる。一度客車を切り離し、レールの端に設けた転回装置で回すのだが、その様子は子供ならずともなかなか面白いものだ。そして客車が残っているプラットホームの線路横の、別の線路で客車を追い越し、今度は本線にバックで入って連結する。



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