はじめてのマウイ(その24)

 確かに9時45分発のところを9時前には着いていたので、早いには違いない。しかし観光地の場合、わりと早めの時間に来る人も多いものだ。そもそも駅舎が閉まっているのが気にいらない。いったい何時に開くのだろうと、近くまで行って確かめることにした。その駅は観光用のものだから、駅と言うよりもむしろおみやげやさんである。窓から覗いてもどこに切符売り場があるのかすぐにはわからない。所詮こんなものかと思ったが、駅の横に貼ってあった時刻表を見て唖然とした。始発は11時5分になっている。実はガイドブックには運行時間は変更になることがあると書いてあったから、前日ホテルに置いてあったパンフレットも見て時間を確認していた。確かにシャトルバスが無くなってたり相当怪しいと思ってはいたが、まさかホテルに置いてあるパンフの時刻表まで違っているとは思わなかった。細君と二人でそのいい加減さに呆れていたが、これもまたハワイ時間なんだろうと思った。きっと余程人気が無くて本数が減ったんだなと言う見解に至り、いずれにしてもそこで2時間近く待っていてもしょうがないから、先ほど通り越して入っていったラハイナの町でも散策しようと言うことになった。

 ラハイナは商店街が建ち並ぶちょっと洒落た港町だ。港にはいくつものヨットや帆船が停泊している。観光でクルージングなどするにはここから出発するのが多いようだ。だが街にはレストランやショップも多いのでちょっと散歩がてらに歩くのもいい。女性にはお薦めだ。駅から遠いほうに行けば行くほど、お店よりも住宅のほうが多くなるので、これ以上行っても何も無さそうだと言うところまで行って引き返した。問題は駐車場だ。地図上ではいくらも距離が無さそうに感じるが歩けば結構ある。もともと駅の駐車場に車を置いて歩いていこうと思わなかったのは、行き過ぎたときにその距離を感じていたからだ。ただ駐車場は結構目に付くのだが殆どが有料。しかも店の駐車場だかなんだかわからないのも多いので、そう簡単には停められない。おそらくこれは日本でも同じだろうが、こちらは最初から戦々恐々の心境だから、余計に入りづらい。メインストリート(ラハイナではフロントストリートと呼んでいる)から路地に入っていったあたりにいくつかの駐車場の看板を発見したが、なかなかここ!と決めて入っていくことは出来なかった。そもそも値段がよくわからなかったし、たとえわかっても払うのが面倒臭そうだ。この辺もまた英語に対する自信の無さの現れだ。

 しばらくラハイナのフロントストリートを走っていたら、ちょっと広めの駐車場を見つけた。特に係員やゲートがあるわけではなかったのでそこに停めることにした。入るときに看板を確かめると確かにPublicと書いてあったから間違いなく公共の駐車場だろうと思った。他にも何か書いてあったような気はしたが、この際わからないことには目をつぶることにしよう。

場所は商店街のはずれだったが、散策にはちょうどいいくらいだ。車を降りてから港のほうでも見てみようということで、ガイドブックに載っていたバニヤンの大樹を通って港町の方へ歩いていった。もっともそこを通ったときは随分大きな木だな、くらいにしか思ってなかったのだが、なんでもラハイナでのキリスト教布教50周年を記念して植えられたものらしい。

 ほどなくして港に出るとそこには色鮮やかな船の群がたくさん停泊していた。



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