はじめてのマウイ(その23)

 翌朝は前の晩夜早く寝たことも会ってまた比較的早く起きた。バルコニーで山を見ながらジュース片手に前日に買ったサンドウィッチなどを食べたりしていた。夜は私の方が早く寝付いているらしく細君はなかなか起きてこない。もっとも私が起きるのがむしろ早かったと言った方がいい。オーシャンビューならある意味もったいないが、所詮は駐車場の見える景色である。それほど急いで起きたところで何かいいことがあるわけではない。
 私の方が一通り食べ終えたあたりで細君も起きてきて同じように軽く食事を取ったが、それで足りるというほどのものではない。とは言え普段から朝食は食べない生活だ。どうしても満足のいく食事をしなければならないということもない。

 さて、昨日の日本語カウンターの説明では今日の予定のさとうきび列車はホテルからだとラハイナ駅に車で行った方がいいと言うことだった。ホテルがあるカアナパリにも駅はあるのだが、片道のクーポン券だったので、どうせなら端から端まで乗りたかった。ガイドブックに載っていた時刻表で考えると昼間の時間帯が一番込みそうだなという見解だった。
 ラハイナは隣町なので距離的にいくらもない。しかも目的地のラハイナ駅は昨日一昨日と走っている幹線道路からちょっと入ったところ。説明によればピザ・ハットのところを曲がればいいと聞いていたので楽観していた。

ガイドブックの時刻表によると朝一番早い列車はラハイナ9:45発。しかし、駐車場のスペースも、どれくらい混雑するのかもかわからなかったので乗車券に交換する時間等も考慮して30分は前に着くようにと考えていた。何度か往復している道なので、目的のピザ・ハットの店を見つけるのはそう難しくないだろうと思っていたが、それまでの往復は、実はガソリンスタンドの方が気になっていたので、それ程注意して見ていたわけではなかった。だいたいその手の店が多くなるあたりがラハイナだろうという見当はついていたものの、日本と違ってうるさいほど看板が出ているわけではなかったから、最初ものの見事に通り越した。例によってまたまた細君からお小言を頂戴したが、見づらいのだからしょうがない。はっきり言って日本のように視線を高くして看板を見つけようとしてもダメである。そんな看板はリゾート地マウイには必要ない。お店の看板は日本の田舎でたまに出くわすボンカレーの看板(もっと大きいが)みたいに店の横に貼ってあるくらいの感覚だ。あきらかに行き過ぎたとわかったので少しラハイナの町の方へ入ってからUターンしたのだが、結構栄えている感じだったので、あとでまた来ようかと細君と話していた。

さて、Uターンして今度は苦も無くピザ・ハットを発見し、スムーズに右折することが出来た。実はホテル側からだと反対の左車線になるので入るときに左折しなければならなかった。日本では右折が大変だが、ハワイでは左折が面倒だ。今度はただ右に折れればいいだけなので楽である。よく見りゃ確かにピザ・ハットだ。というか、こっちからじゃなきゃわかりづらい。とりあえず言われたとおりにその道を入っていくと、寂れた町の風景みたいな感じになった。すぐの突き当りをまた右に曲がるとほんの100mくらいで駅舎のある駐車場に着く。
さて、着くと書いたが実は行ってみてそれが本当にさとうきび列車用の駐車場なのかはっきり言って看板が出ているわけでもないからわからない。確かに駅のまん前にあるのでほぼ間違いは無いのだろうが、それでもすぐ横には別の建物が建っていたりしたので、そこの駐車場かもしれないという疑念もあり、本当にここに停めていいのかな?という不安はあった。というのも、他にこれと言った車が全然止まってなかったからだ。時間的には確かに30分以上前に到着したので、少し早くはあったのだがそれにしても駅が開いてる感じではなく他の乗客らしき人たちもいなかった。それでも最初は細君と二人で、「やっぱり相当人気無いんだな」とか言って笑っていた。そのうち駅も開くかなと思いながら、時間つぶしに記念写真などを撮ったりしていたのだが、それにしてもなんだか淋しすぎる。



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