はじめてのマウイ(その18)

途中何箇所か工事をしているところもあったがドライブにはおおむね良好、ただちょっと雲が出だして登っていくにつれ段々と視界が悪くなっていった。つづら折の道を何度も曲がりながら登るのは日本の山と大差無いが、ただ絶えず片側が崖になっている感じがする日本の山道とはだいぶ違う。カーブそのものもそれほどヘアピンという感じのものが少ないのは、やはりそれだけ斜面がなだらかだと言うことなのだろう。時折マウンテンバイクに乗った一団とすれ違う。これはハレアカラで有名なダウンヒルだ。山頂から一気に自転車でかけ下りるというものだが、なかなか気持ち良さそうだ。ただ黄色いウェアに身をつつんでいるので格好が小学生みたいではある。いつしか車は雲の上に出た。残念ながら街の景色はほとんど見えなかったが、それでも空が開けて気持ちがいい。運転そのものも景色の良さもあるかもしれないがまずカーブにそれほど気を使わなくていい分かなり楽である。日本の場合はカーブからカーブまでの距離が短く、かつ曲がりがきついので減速・加速を頻繁に繰り返さないとならないが、ここはどちらかというと同じスピードのまま登っていける感覚だ。途中ゲートがあり利用料$10を支払う。これは有料道路代というよりも国立公園の入園料という感じらしい。最初に払うと1週間有効になる。もっともダウンヒルやサンライズウォッチ、あるいはスターゲイジングといったものをするのでなければほとんど一度きりだろう。ゲートを通り過ぎてからまた一路頂上を目指して行ったのだが途中に公園管理事務所というのがある。ガイドブックによるとここのトイレは綺麗とガイドブックに書いてあったので、細君は何が何でもそこで用を足すつもりだ。ついでにガイドブックによると混雑するので早めにとも書いてあるのだが、何を早めにするのかは全く持って疑問である。

さて、その公園管理事務所についてみると20〜30台は車が停められそうな駐車場がある。それほど混雑もしていなかった。さてどれほど綺麗なトイレなのかと期待してしまうがいたって普通の公衆トイレだ。感動するほど綺麗という訳ではなく、ただ高山なのに水洗なので綺麗には違いないのだろう。確かに富士山などでは考えられないから最初から期待していかなければそれなりに綺麗とは感じるかもしれない。一気に山を登ってきたのでそこで写真などを撮りながらしばしの休憩だ。特に気分が悪いと言うことも無いので高山病などの心配も無さそうだ。雲を下に見下ろしながら山の空気を吸うのは気持ちがいい。ただそこには他に何があるというわけでもないので、のんびりしたムードの中もっと景色がいいであろう頂上目指して行く事にした。

ハレアカラと言うのは世界最大の休火山である。山頂に近づくにつれだんだんと緑が少なくなり、火山岩や石がむきだしになってくる感じがする。頂上付近の道はハレアカラ・クレーター・ロードというらしいが言われれば確かにそうだなと感じるものだった。やがてもうほぼ頂上というあたりになって大きな駐車場が見えたのでそこに車を停めた。アスファルトで舗装されたかなり大きな駐車場だ。山小屋のようなものもある。それ以外はさすがに普段目にしたことのないような岩で覆われた世界、日本では阿蘇山に似ていると思うが規模はもっと大きい。山というよりも火星のような感じがした。正直規模が大き過ぎてどこが火口なのかよくわからないし、吹きさらしなので風も強い。小高い山があり遊歩道のようなものもあったのでそれを登ったところが頂上かと思ってちょっと登ってみたのだが疲れたのでやめた。というよりそこはまだ頂上ではなくて、その先にもまだ道路があるというのを登っている途中に気がついたのだ。改めて車に引き返し本当の山頂目指してもう一度車を走らせた。

歩いたら相当あるだろうが車ならほんの1,2分の距離だ。というのもほぼ直線の道で走りやすいと言うのもある。やがて頂上の、先ほどよりはだいぶ狭い駐車場が見えてきた。停められるのはせいぜい50台くらいだろうか。先ほどの駐車場は200台くらいは停められそうな気もしたが実際に数えたわけじゃないし、いかんせんスケールが大き過ぎて感覚がわからない。回りの規模に比べてかなり小さく見えたのは確かだ。ただかなりの人が山頂にいたように感じたが駐車場のスペースがそれほど狭いと言う感じはしなかった。さて、車を停めて火星の探検だ。まずはハレアカラ・ビジター・センターという掘っ立て小屋のようなあるいは展望室のような(事実展望室なのだが)小屋に入る。ガラス張りで視界はいいが、すでにその山の大きさには驚いているので特にこれと言った感動は無くなっている。が、まあとりあえず日本人お決まりの記念写真だ。もっとも日本人だけじゃなくてあちらの人もみんな写真を撮っていたけれど。ちなみにここもあまり日本人らしき人たちにはお目にかからなかった。

それから駐車場を囲む周りの山というのか丘というのか、その辺を歩き回っていたがサイエンス・シティと言う天文台が多く並んだ方を望むとこれまた火星らしさがいっそう顕著になる。これは実際に目の当たりにしてもらわないとSFの世界に飛び込んだようなその感覚はなかなか言葉では現せない。
さて、風が強いのは相変わらずだが、日本では富士山クラスの標高なので昼間でも結構寒い。恐らく常夏の島ハワイとは言え、そこは夜になれば日本の真冬並みの寒さになるであろうことは容易に想像できた。



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