はじめてのマウイ(その12)


渡されたキーの番号どおりの部屋の前に行ってみると、ものの見事に海と反対側だ。もともとオーシャンビューの予約ではなかったから、それほど期待はしていなかったものの、ひょっとしたら海側の部屋になるかもという、淡い期待は崩れ去った。部屋は4階でこれまた思っていた以上に低かった(T_T)
いわゆるマウンテンビューという奴で、確かに山は見えるのだが、先ほど入ってきた正面玄関前のロータリーの真ん中に大木が立っていて、それをちょうど前に見る格好だ。おかげさまで駐車場の車もよく見える。むむー、それにしても。。。泣きたくなるほど素晴らしい眺望だ。向きは北向きになるのか、日陰でとても涼しい部屋だった。しかし、部屋そのものはわりと広くて綺麗だった。

ともあれ、無事にチェックインも済ませたし、そのままトランクの到着を待っていてもしょうがないので、食事がてらそこら辺を探検することにした。実は朝の簡単な機内食以来何も食べていない。ホテルのすぐ横にはレストランも多いホエラーズビレッジというショッピングセンター(規模はアラモアナなどに比べたら滅茶苦茶小さいが)もあったので、そこでとりあえず腹ごしらえをすることにした。

道路側からは階段を下りる形になるが、1階にマックがあったので、さすがに59円バーガーは無かったが、細君もずっとおなかの調子が悪かったので、そこで簡単に済ませることにした。ところでハワイの飲み物はサイズが日本の物に比べてかなり大きい。下手にLサイズなどを頼むと飲みきれないくらい量が多いので注意が必要だ。ハワイの人たちの体格がいいのもなんとなく頷ける。

素晴らしい天気の下、その後砂浜の方やホテル・ウェスティン・マウイが誇るプール群とかを眺めていたが、途中、細君はまたもやおなかが痛くなりだし、いったん部屋に戻るとそのままベッドの上でグロッキーだ。
「あなたひとりでどっか行っててもいいよ」というので、とりあえずまたプールの方に行き、写真などを撮っていた。水着の貸し出しとかもやってるから、その気になればプールで泳ぐことも出来たが、なんか貸水着というのはやはり抵抗があるし、そこまでしてプールに入りたいとは思わなかったので、とりあえずその辺をブラブラしていた。短パンだったらそのままプールサイドのビーチチェアで日光浴したかもしれないけれど、さすがにGパンに靴だと抵抗あるもんな。

マウイはワイキキと違って、それほど日本人は多くない。ただ気のせいか、わりと年配のあちらではかなり地位の高いお金持ちの人たちが多いのかな?という印象を受けた。というのは、カップルと言う感じの人たちよりも家族連れの、それも品の良い感じの人たちが多かったのと、あまり若い人たちがいないように感じたからだ。アメリカの夏休みは知らないが多分日程的なものもあったのかもしれない。

ポロシャツにGパンの靴履きという格好でプールサイドを歩いていると、特別奇異な印象を与えてもいなかったとは思うが、それでも変態カメラマンと間違えられたら淋しいので適当に切上げて部屋に戻った。
その後は、とりあえず部屋の眺望のいい?バルコニーで煙草を吸ったりしながらトランクの到着を待とうと思ったが、そのうちさすがに眠くなって、自分もベッドの上でうつらうつらしていた。

いきなりノックの音で目が覚めた。瞬間わからなかったが、もしかするとトランクが到着かとすぐに気づいて急いでドアに向かった。念のために覗き窓から確認すると、ボーイが確かに大きな荷物をそばに置いて立っている。すぐさま鍵を外してドアを開くと、そこには笑顔のホテルボーイと見慣れたトランクケースが2つほど並んでいた。ボーイは言葉少なに荷物を部屋に入れてくれた。とても素敵な笑顔だった。こちらも「サンキュー」と応えたが、うたた寝中の不意をつかれたため、チップを用意する時間も無かった。よってそのボーイはさわやかな笑顔だけを残して去っていった。
 隣で寝ていた細君も起きだして荷物の確認だ。そこに貼ってあった手荷物シールはまさに自分たちの乗ってきた便名だった。そそくさと中身を開けて確認すると、特に問題なく出発前に用意したそのままで収まっていた。私と細君は抱き合って喜び(嘘)ようやく安堵の笑みを浮かべたのであった。