はじめてのマウイ(その10)


今まで左ハンドルというのは、知り合いのアメ車をほんの4,5キロ運転させてもらったことがあるくらいで、それもすでに15年くらい前の話だから、ほとんど運転してないに等しい。日本では自分の左側の車幅を気にするが、これは逆になるので、慣れないうちは感覚的に変にはなる。恐る恐る車を発進させて、いざ駐車場を出ようとしたが、はて、どっちに行っていいやらわからない。しかしまあ、出入り口付近で止まっているわけにもいかないので、とりあえず適当に行ってみようとウィンカーを出そうとしたら、ワイパーが動いた。細君はうけまくったが自分としてはそれほど面白くない。というか、きっと殆どの人がこれはやると思うんだよねー。まあなんとなく、初めてスキーした人がすぐに転ぶのとそう大差無いような(全然違うかもしれないけど)そんな感覚だ。

さて、カフルイ空港からホテルのあるカアナパリまでは距離こそ、そこそこあるが道はそれほど難しくない。一度幹線道路に入ってしまえば、それこそ道なりにまっすぐと言っても過言ではない。ところが最初のちょっと大き目の交差点でさっそく反対方向の車線に入ってしまった。右側通行と左側通行の感覚の違いは、普通に走っているときよりも交差点で曲がる時が大きい。車線がわかれると感覚的に逆になるのと、実際に曲がった時に左側に入りたくなってしまうことがある。日本で普通に運転していると余計にそう感じてしまうかもしれない。

ナビを努めるのは細君だ。私も逆かなーと思っていたが、細君は口を尖らせて逆だと言った。さっそく慣れないところでのUターンに迫られた。空港周辺は結構交通量が多く、車も飛ばしている。しかしこれまた土地のあるというか、田舎のマウイで良かったなーと思った。どこかの事務所の駐車場みたいなところに入ってすぐさまUターンだ。そして方向修正してからはこれといって問題のないドライブとなった。

さて、車の運転もさることながら、相変わらず行方不明のトランクは気にかかる。むしろ、気持ちの上でたえずそれがあったから、どんなに快適なドライブもわりと気の重たいものになっていた。当時の天候は気持ちいいほど晴れていて、ホテルまでの道のりも、途中海を左手に見ながら、なかなかの眺望ではあったのだが、そんな景色すらあまり目に入らないほど、実はホテルに向かって急いでいた。
道は幹線道路に入ってからは順調で、信号も少なく、渋滞と言えるほどのものは
殆ど無い。しばらく走ると左ハンドルにも慣れてきた。

海岸沿いの道に入ってからは、ホテル近くまで一本道なので、細君も安心して乗っている。とは言え、やはりあるべきものがないというのは心淋しいものだ。空港からホテルまで距離にして50km足らず、それほど信号も無く、わりと飛ばせるので、1時間かからない程度の道のりだ。ホテルは3時からチェックイン出来るが、空港に到着したのが12時くらい、あれやこれやで車で走り始めたのが1時半過ぎくらいだから、このままだとちょっと早めについてしまう。とは言え、少しでも早く安心したいという気持ちがあったので、ホテルだけを目指して走っていた。

およそ4,50分走っってカアナパリの町に入ったら、幹線道路を左折してホテル街に向かう。整備された道路だから綺麗だ。するとすぐにステイ先である、ウェスティンマウイが見えてきた。初めてだったので入口にちょっと迷ったが、一度Uターンしてホテルの敷地に入ることが出来た。道路から100mくらいのところにホテルが立っている。ホテル建物の玄関前はロータリーになっており、その両側が駐車場になっている。

ホテルに向かって正面玄関左側にはボーイのような人たちが何人か立っていたが、特に出迎えるといったわけではなかったので、そのままホテルに向かって左側のゲート付きの駐車場に飛び込んでいった。日本のレストランとかでよく見かける発券式なのだが、手前にすでに券を持っている人用の機械があり一瞬迷う。それでも機械そのものはある程度見慣れたものであり、特に難しいというほどのものではない。ただ入ってから看板というか標識のような案内板と地面に白文字で何か書かれた場所と、何も書いてない場所に別れる。実はまたこのとき、その英語の意味がわからなかったのだが、看板が出ている方は先ほど玄関前に並んでいたボーイさん達が、チップをもらって車を止める専用スペースだということがあとでわかった。私はと言えば、当然のことながら最初わざわざそっちのスペースに止めてしまったのだが。その英語がなんと書かれていたのかは、すでに忘れている。要は奥のほうに止めればいいということだ。
さて、何とか無事にホテルにたどり着いたので、駐車した場所が果たして正しかったのかという疑念はあったものの、とりあえずわからないのだからしょうがない。